REPORT レポート

「目的地」になる魅力づくりを!「キャンプ場運営及びコンテンツ開発講座」レポート

▼会場となったコワーキングスペース「KAMIKAWORK .Lab」

今回の大雪山大学は、初の試みとなるオンライン講座!ということで、ネット回線の関係もあり、会場となったのはコワーキングスペース「KAMIKAWORK .LAB」。
こちらは上川町で活躍するKAMIKAWORKプロデューサーのシェアハウスと一体化した施設です。講座のあった12月15日(火)は、あいにくの猛吹雪に見舞われましたが、幸いにもオンラインでの開講だったので、悪天候による移動トラブルで「講師が着かない!」ということもなく、予定どおり14時にスタートしました。

▼講師を務めた福嶋淳平さん

講座タイトルは「キャンプ場運営及びコンテンツ開発講座」。2019年度から週末移住活動の拠点施設としてリニューアルした層雲峡オートキャンプ場が2021年夏から本格オープンするにあたり、キャンプ場を素材とした地域活性化の方法を学ぼうというものです。講師を務めるのは、年間9万人のキャンパーの来訪を誇るキャンプ場「北軽井沢スウィートグラス」を運営する、有限会社きたもっく地域資源活用事業部の福嶋淳平さん。

▼冬季営業を行う層雲峡オートキャンプ場の様子

福嶋さんと上川町は「大雪 森のガーデン」の立ち上げ時にお手伝いいただいた時からのお付き合い。キャンプ場運営だけでなく、地域資源を活かした幅広い取り組みでエリア全体に豊かな波及効果を及ぼしている「きたもっく」の事例を、層雲峡オートキャンプ場運営の参考にできればと今回講師をお願いしました。この日は、大雪山ツアーズ職員を中心に、キャンプ場スタッフや層雲峡観光協会などからもそれぞれ参加があり約10名を超える視線が画面の福嶋さんに注がれます。

▼資料を基に、きたもっくの取り組みを紹介

まずは講師自己紹介の後、資料を基に、きたもっくが事業基盤とする北軽井沢、浅間山麓の特徴が語られます。「浅間山は7~800年毎に大噴火をする山で、噴火の後は何も残らないことから大資本の投資は不可能です。そんな環境を前提に『生き残れる事業』として構築したビジネスモデルが、森林資源を活用した六次産業です」と話します。

▼薪ストーブの設置で通年営業を可能に

キャンプ場という3次産業をやっている会社が1次2次産業に進出するのは日本では珍しい事例。中でも象徴的なのが薪ストーブ事業でしょう。「日本はエネルギーを海外に頼らざるを得ませんが、浅間山北麓の35km圏内であれば森林資源の活用によりエネルギーが自給できる。これなら50年100年先にも持続できると考えました」。2012年に薪ストーブをキャンプ場のキャビンやコテージなど全宿泊施設に設置し、通年営業を開始。15年には高効率・高品質な薪の製造販売を始めたのです。

▼六次化のメリットは収益化の起点を独自に設定できること

「六次産業化の1番のポイントは、マネタイズ(収益化)のタイミングを独自に創出できること」と福嶋さんは力説します。モバイル薪風呂を開発した際、これを販売することもでき、キャンプ場に置いて入浴料を取ることで収益化することも可能。実際にはキャンプ場の付加価値として提供し、宿泊料金に組み込むことを選択しましたが、結果として薪も売れるということで複数のポイントで収益化が図られています。

▼「目的地」となるためのコンテンツは何か

講座の後半では、「層雲峡オートキャンプ場」の活性化に向けたコンテンツづくりの重要性について語られました。同キャンプ場の現在のホームページと「北軽井沢スウィートグラス」のものとを比べ、「このキャンプ場でどういう体験ができるのか、売りのポイントが現状ではわかりづらい」との厳しい指摘も。「登山や温泉など、キャンプ場の近隣の魅力のPRはできているけれど、もっとキャンプ場自体の魅力を伝えないとキャンプ場が目的地になってくれません」と福嶋さんは話します。

▼誰に何を提供できるのかを明確に

例えば、ツリーハウスがある、と伝えるだけでなく、ツリーハウスで「何ができるか」を伝えることが大切、とのこと。「仮に札幌から3時間かけて来るということを考えると、1泊するだけで往復6時間は体力的にも時間的にも厳しいので、2泊してもらえるだけのコンテンツや仕掛けが必要です」。そのためには、誰に向けたキャンプ場にしていくか、ターゲットをはっきりさせることも重要だという指摘に、参加者も大いにうなずいていました。

▼いちばん難しいのは「人」づくり

今回の講座は当初、実際に福嶋さんにキャンプ場を視察していただき、そのあと対面でレクチャーを受けるプログラムも予定されていました。新型コロナの感染拡大を受けてオンライン講座となりましたが、収束次第、視察も予定されています。
「視察で確認したかったのは、人材についてです。キーパーソンは、他所から来た人では務まりません。他の地域のこともわかり、地元のことを実感として理解している人が務めることが重要であり、その人づくりがいちばん難しいんです」

▼スタッフが自分事として考えることで具現化を目指す

質疑応答の時間には、試験的に行う冬季営業のために集まったキャンプ場スタッフも積極的に発言しました。
「キャンプ場でのスタッフのホスピタリティはどの程度の距離感で行うのが良いか」と質問したのは、地元上川町の農家である辰巳裕亮(ひろあき)さん。栃木県から参加している田崎充彩(あつや)さんは、「スウィートグラスは単なるキャンプ場ではなく、六次産業による地域活性化の拠点と感じました。層雲峡もそこを目指したい」と意欲を見せます。

▼自分が楽しめることをコンテンツにして発信を

 登山ガイドを目指して、昨年から上川町地域おこし協力隊として活動する近江美久さんは、「福嶋さんからは厳しい意見もありましたが、はっきり的確に指摘していただいたのでありがたかった」と話します。大阪の会社から期間限定で参加したキャンプ場の女性スタッフは「上川町は人の温かさが最高の武器。自分がやりたいこと、楽しめることを提案して大いに発信していきたい」と、期待に胸をふくらませていました。

▼大きな宿題の答えを探して冬季営業へ

最後は、
「このキャンプ場に滞在したらどんな自分になれるのか、想像してワクワクできるようなコンテンツ開発を」という、大きな宿題が参加者に課せられ、初のオンライン講座は無事終了しました。
層雲峡オートキャンプ場は、21年1月8日(金)から3月14日(日)の間、試験的に週末だけ冬季営業を実施します。今回の講座を受けて、今後どのように変化していくのか、ぜひご期待ください。