REPORT レポート

ガーデンの魅力を作って発信!「森の自然体験プログラム開発講座」レポート①

7月より3回にわたって開催する大雪山大学「森の自然体験プログラム開発講座」。この講座では、『エッセンシャルウォーター作り(仮称)』とガーデン散策をセットにした体験プログラムの開発やそれを担うガイドの育成を行い、大雪 森のガーデンを何度も訪れたくなるような魅力的な場にすることを目指します。第1回は7月25日(木)26日(金)の2日間にわたり開催され、エッセンシャルウォーターの作り方を学び、体験プログラム開発のレクチャーを受けました。受講者は、大雪 森のガーデンの運営等に関わる人々。講師は、NPO法人森のこだまの上野真司さんです。
 
▼講師を務める上野真司さん

【1日目】
講座1日目は13時からスタート。上野さんよりエッセンシャルウォーターを精製する装置の説明や、作り方のレクチャーを受け、実際にどんな素材を使って香りづくりの体験プログラムを実施するのかを検討していきます。

▼装置を前に説明を受ける受講者たち

エッセンシャルウォーターとは花や植物からアロマオイルを抽出する際にできる香り成分が溶け込んだ液体のこと。体験プログラムで作るエッセンシャルウォーターは、ガーデンで採取した植物や花から抽出します。実際に蒸留するまでどんな香りになるのか分からないこと、使用する素材次第で全く異なる香りとなることから、今回はミントの仲間である「ネペタ(別名キャットミント)」を使用して実験してみることに。まずは全員でネペタの茎から花を取り、分けていきます。

▼丁寧に茎と花に分ける参加者たち

集まった花だけを蒸留器に入れ、1時間ほど蒸留します。

▼ネペタの花はきれいな紫色をしています

▼一番最初に滴る雫をキャッチする瞬間はちょっと感動的!?

抽出されたエッセンシャルウォーターを容器に入れてラベルを貼れば完成!花と葉を入れた場合でも同じように抽出し、香りの違いを確かめます。想像していた香りとだいぶ違っていたことから、本番に向けてはまた別の素材でも試してみて、引き続き検討することとなりました。

今回のもう一つの課題は、エッセンシャルウォーターを抽出している間の待ち時間を利用して、よりいっそうガーデンの魅力を感じてもらうための体験プログラムを開発することです。ガーデンを訪れる方に伝えたい魅力は何か?見せたいポイントは?等々、スタッフみんなで様々なアイデアをめぐらせながらガーデン内を歩き回り、1日目は終了しました。

▼ツリーテラスや円形リング型遊具が人気の「遊びの森」

▼エッセンシャルウォーター作りに使えそうな素材や植物も探します

【2日目】
2日目は上野さんの「地域資源ガイド論」をベースに、オリジナルプログラムを開発するにあたっての考え方や組み立て方についてレクチャーを受けます。地域の“資源”を“商品=体験プログラム”に変えるための考え方や、付加価値を創り出す方法についてなど、上野さんが津別町で実践している事例を交えたお話に、受講者たちも熱心に聞き入ります。

▼スライドを見ながらプログラム開発の基本を学びます

ポイントとなるのは「身近な日常を“資源”と見ることができるか?」ということ。例えば、今ではすっかり有名になった雲海ツアーも、もともと地元の人々にとって見れば、何でもない当たり前の光景だったそう。そして、地域の資源を活かすには、それを伝えるガイド自身が「自分が楽しいと思うか?」「訪れる人を楽しませられるか?」「(その取り組みが)続けられそうか?」ということを自問自答して、しっかりと考える必要があるのだそうです。そこでまずは、スタッフ全員で価値が生まれそうな資源を洗い出してみることに。受講者8人全員で上川町や森のガーデンで魅力だと思うモノやコト、場所について思いつく限り1人20点ほど書き出していきます。地域資源を商品にするための取捨選択の作業です。

▼みんなが知ってる魅力から、自分の視点で魅力だと思うものまでどんどん書き出します。

各自で書き出した合計約160点の資源を、全員で「魅力だと思うか」をポイントに多数決を取ります。すると47点にまで絞りこまれ、上川町、森のガーデンの魅力がよりいっそう明確に浮き彫りになってきました。

▼どれも捨てがたい魅力。絞り込むのも一苦労です。

絞り込まれた魅力をさらにブラッシュアップ。それぞれの魅力のプラス面とマイナス面の意見を書き込んだところで、第1回目の講座は終了。次回は新たな観点を加えながら魅力を選別・ブラッシュアップして、体験プログラムに反映していきます。

▼良いところだけではなく、マイナスの意見を書き込むことで議論が深まっていきます。

第1回講座は、ガーデンの魅力を体験し、考えることで課題や新しい発見がたくさん生まれた2日間となりました。第2回講座では、受講者が考えたオリジナルプログラムを一般のお客さまが実際に体験。意見を取り入れながら完成に近づけていきます。