REPORT レポート

全国の学生も参加!「町づくりスキルアップセミナー」開催

大雪山大学プロジェクトでは、3月6日と7日の2日間に渡り、層雲峡温泉のHOTEL KUMOIや、市街地のかみんぐホールなどを会場に4つの「町づくりスキルアップセミナー」を開催しました。いま日本が直面している「地域活性化」という課題の最前線で活躍する講師たちから、地域の魅力を「見つける」「つくる」「発信する」実践的な取り組みに学び、これからの地域活性化について考える貴重な機会に、この期間インターンシップツアーで来町していた全国の大学生や専門学校生と町民や一般の方々合わせて約50名が各回に参加しました。「地域から世界は変わる。」のテーマのもと行われた特別講座の様子をお伝えします。

【地域の魅力をワクワクと共に発信する企画術】

▲アイデアと実現力で新しい体験をつくるパーティークリエイター・アフロマンスさん

最初の講座は、120万枚の桜の花びらに埋もれるバー「SAKURA CHILL BAR」や、マグロの解体とDJを融合させたパーティーを開催するなど、地域資源を活用した体験型プロモーションを手掛けるパーティークリエイター・アフロマンスさんによる「地域の魅力をワクワクと共に発信する企画術」。HOTEL KUMOIを会場に、魅力があっても関心を持ってもらいにくい「町に眠る資源」の活用方法を学びます。

▲これまで手掛けてきたイベントと企画のポイントを解説

斬新なアイデアを考えるためには、「異質なものを組み合わせる」「見たことがない!極端なものを考える」「当たり前のルールを変えてみる」の3つのポイントがあると語るアフロマンスさん。豊富な成功事例をまじえて繰り広げられる解説に、参加者たちも思わずひきこまれます。

ハウスDJにあわせてマグロをさばく「マグロハウス」というイベントの事例では、DJとマグロという全く異質な二つの要素を組み合わせることが企画のポイントであることや、お風呂で映画を見る「バスタブシネマ」の企画では「どうせやるのなら、見たことがないくらい極端なものを提案する」ことが成功の秘訣であることなど、数々の企画術を学びました。

▲地域を盛り上げるためのアイデアを話し合う参加者

レクチャーを受けたあと、「層雲峡氷瀑まつりに、国内のファミリー層を取り込むには何をすべきか」という課題が与えられ、上川町を盛り上げるための企画を考えるグループワークが行われました。参加者同士アイデアを出し合いながら、氷瀑まつりへ足を運んでもらうための「これは」と思う切り口を見つけていきます。

▲サバイバルゲームやバーベキューなど、柔軟性に富んだアイデアが発表された

「一般の方も氷瀑を一緒につくったり、終了後に壊したりするなど参加できる要素を取り入れる」、「かまくらを作って、雪中バーベキューを開催する」、「氷瀑スライダーで温泉に突っ込む」、「サバイバルアイスと名付けたサバイバルゲーム風雪合戦を開催する」など、ユニークなアイデアが生まれ、各グループの発表も熱がこもったものとなりました。

▲実践的なレクチャーに真剣に耳を傾ける参加者

東京から参加した大学1年生は、イベント運営に関心があるといい、「異質なものを組み合わせることで、これまでにないアイデアが生まれることは理解していたが、具体的なイメージが浮かばなかった。しかしアフロマンスさんから実践的なレクチャーを受けたことで、結びつきが理解できた」と手応えがあった様子。

【共同で創造する”共創”の場所づくり】

▲チームラボの遠藤香さんと浜田晶則さん

続いての講座は、チームラボによるワークショップ「共同で創造する”共創”の場所づくり」。会場を「かみんぐホール」に移して行われました。

廃校となっていた旧東雲小学校をリノベーションして交流拠点「大雪かみかわ ヌクモ」として再生する、現在進行中のプロジェクトに参加しているチームラボキッズの遠藤香さん、チームラボアーキテクツの浜田晶則さんのお二人を講師にむかえ、いま上川町にどのような「共創の場所」が創りだされようとしているのかについてお話をいただきます。

▲建設中の交流拠点「大雪かみかわ ヌクモ」を見学

チームラボは、アートの「人々の関係性を変化させ、他者の存在をポジティブな存在に変える」可能性にフォーカスを当てることによって、往々にして個人的になりがちな創造的な活動を、他者と互いに自由なまま、共創的な活動に変えることができるのではないかと考えており、共創を楽しむ体験によって、日々をより共創的なものへ変えていけるのではないか、そのような思いから「チームラボ 学ぶ!未来の遊園地」というプロジェクトは生まれたのだそうです。そのプロジェクトを手掛ける遠藤さんが、今回「ヌクモ」に導入される「あそぶ!天才プログラミング」という作品をどの様な想いでつくっているのか?についてや、国内でも数多くの作品を手掛けている建築家の浜田さんが、この施設をどのような場所にしようとしているのか?という想いについて解説。上川町でのプロジェクトがどのようにして始まり、進行していったかの背景についても語っていただきました。

参加者たちは現在建設中の施設を実際に見学した後、この場所をどんな場所にしたら良いのか?を考えるグループワークを行います。課題は、「カフェメニューやお土産は、どんなものが喜ばれるか」「SNS発信において、自分たちはどんな情報が欲しいか」「地域住民に愛されるため、どのようなイベントをどこで行うべきか」「リピーターになってもらうための施策はどんなものがあるか」など。地域住民と観光客の新たな交流拠点となる「大雪かみかわ ヌクモ」に何が求められるかを話し合いました。

▲「大雪かみかわ ヌクモ」に何が必要か。グループワークの成果を発表

発表では、カフェのメニューとして「上川の素材を使い、雲や空など風景をイメージさせる食べ物や飲み物を開発する」、お土産として「上川で撮った写真を飾ってもらえるよう、アート性に富んだフォトスタンドを作成する」、あったらいいと思うアクティビティとして「子どもと高齢者が交流できるよう、昔の遊びを楽しめるようにしたり、高齢者が駄菓子屋を運営したりする」など様々な企画が提案されました。

▲上川町の魅力資源をどう活かすか?を考える参加者たち

観光開発について関心を持っているという、横浜から参加した大学2年生は、観光資源について考える際、観光客のみに着目しがちだが、チームラボは地域の子どもや高齢者にも目を向け、共生的な方向性を打ち出していたのが印象的で「さまざまな角度から考察することの大切さを学ぶことができた」と語っていました。

【地域に人を集める方法】

▲HOTEL KUMOIのプロデュースも手掛ける龍崎翔子さん

この日の夜は、東大生でありながら今回会場となったHOTEL KUMOIのほか、全国各地のホテルのプロデュースを手掛ける龍崎翔子さんによる「地域に人を集める方法」講座を開催。「豪華さや、非日常性を求めるホテルではなく、その地域の暮らしを体感できる趣向を凝らしたホテル作りを行っている」と語り始める龍崎さんは、2015年に北海道・富良野で「petit-hotel #MELON」をオープンさせたのを皮切りに、その後も京都に「HOTEL SHE, KYOTO」をオープンするなど現在も数々のプロジェクトを手掛けています。

「ソーシャルホテル」というコンセプトのもと自身がプロデュースするホテルを経営する上で心がけていることや成功の秘訣を紹介。地域が持つ魅力やビジネスの可能性の見つけ方、地域に人を集める方法についてレクチャーしていただきました。

▲課題は「どうしたら層雲峡にお客さんを呼べるか」

よいアイデアを発想するためには、「顧客の目」「経営者の目」「メディアの目」「神の目」の4つの視点が必要と語る龍崎さん。「神の目」とは、業界や社会全体を俯瞰し、課題を発見し世の中のあるべき姿を見出す視点のこと。それらの視点から総合的に企画を磨き上げていくことが大切であることなど、地域活性化につながる企画のヒントが盛りだくさんの内容に、参加者は熱心に耳を傾けていました。

手法を学んだあとは、「層雲峡に人を呼ぶためには、どうしたらよいか」という究極の課題に取り組むグループワークを実施。難しいテーマに頭を悩ませながらもたくさんの意見が交わされていました。

▲参加者たちの熱いプレゼンテーションが繰り広げられる

最後に行われたプレゼンテーションでは、「傷心の人を呼び込み、敢えてWi-Fiの接続などができないようにして存分に孤独を感じてもらう」、「秘境らしさを感じてもらうために、大雪山を2、3人程度の少人数で冒険してもらう」、「層雲峡に、オホーツク方面や富良野方面など、他の観光地をつなぐハブ的役割を持たせる」、「美しい風景をきれいに撮影することを学べる、クラウドフォトキャンプを実施する」など、なるほどと思えるアイデアから飛躍した発想まで、さまざまな視点からの企画が披露されました。


【地域をひらくアートプロジェクト】

翌7日は、層雲峡で最も歴史のある層雲閣グランドホテルに会場を移して、北海道白老町で毎年開催される総合芸術イベント「飛生芸術祭」など、地域とアートを結びながら町を盛り上げる活動を行っている木野哲也さんによる「地域をひらくアートプロジェクト」を開講。アートという切り口から地域を活性化する取り組みについて学びました。

アートの視点で地域の文化や歴史などの地域資源に目を向けること、その土地・その場所でしかできない創造・創作とは何か?を考えて実践していくことが大切と語る木野さん。プロのアーティスト(美術家)や著名人やゲストが必ずしもメインになるのではなく、子どもたちや住民も、地元の漁師さんも大切な表現者となるといったお話や、地域独自の物語りを生み出していく数々のアートプロジェクトの事例に触れることで、目から鱗の感想をもった参加者も多くいた様子でした。

▲リラックスした雰囲気で気分転換も


後半は、木野さん自らが構想した上川町の地域活性化プランを紹介。地域の資源とアートを掛け合わせることで、上川町の可能性がますます広がる数々のプロジェクト案が示され、
参加者からは「アートを通して地域を活性化したり、人々とふれあう機会を作ることの面白さを知ることができた」「創造と交流。居場所づくりの交流法が参考になった」といった声が聞かれました。


2日間を通して、様々な分野で活躍するプロフェッショナルたちからのレクチャーに、受講者たちも刺激を受け、まちづくりについてのアイデアが数多く生まれました。「地域の未来を考える」今回の体験は、地域を見つめる新たな視点をもたらし、新たな景色を生み出していくきっかけとなることでしょう。今後の上川町の発展にも期待が高まります。